最近、佐野元春の80年代物を聞いてるんだけど、いいね。80年代を思い出すよ。中学とか高校とかのさ、まだ青い頃のこと。オレはあらゆる点で、90年代が一番好きなんだけど、80年代もダサくっていいよね。あの時代が、まだ純粋な時代だと思うのは、個人的な思い込みなんだろうか。そういえば最近あんまり熱くなってないなぁ。
ところで机を整理していたら懐かしい写真が出てきたんだよ。密林が開業した頃の写真。まだスクーターもほとんどなくて、ガランとしてるよね。

開業したのが今から11年前。あの頃は、あれでも店をやってるつもりになってたんだよな。今の密林と比べるとまるで別の店だよね。そしてこれがあの頃のスタッフ、つまり社長とオレさ。

初めの頃はモッズ人脈が多かったから、メーデー前は忙しかったよ。1週間くらい密林に寝泊りしてスクーター仕上げたりしててさ。前の日の夜なんて人が絶えなくって、結局店閉められなかったな。その頃、まだキャメルとか現役でさ、カッコよかったよ。90年代のモッズがもっとも多い頃、密林は始まったから、初めの頃はホントモッズ御用達スクーターディーラーって感じだったよ。へとへとに疲れた体で遊びに行ったメーデーも、今となってはいい思い出だね。
昔モッズやってて、よかったと思ってるよ。
GW以後、まとまったレストア時間が取れない中、レストアをちびりちびりと進めていきました。あと少しで走る状態に持っていけそうです。今回はキャブも新品だし、点火系はエレクトロニックだし、点火時期もゲージでぴったり合わせてるので、エンジンはかける前からOK牧場自信満々。ここ2~3週間の成果はあまりありませんが、まぁ写真で進捗状況を報告します。あ、タイヤは仮止め用の中古ですから、実際は新品のホワイトウォールがつく予定です。メッキリムでね。

ところでレストアのお供、BGMって結構重要じゃないでしょうか?今日もいろいろな曲を聴いていましたが、ぜったいお勧めできないのはこの一枚。

かなりデスパレートな気分になってしまった。なんせ一貫して暗い。そして呪文のような歌。レストアをしているとしばしば行き詰るのですが(たとえばリプロのパーツの製品精度が甘く、ネジ穴がまるで合わないとか、重要なパーツが一個だけ足りなくて作業が中断されたりとかね)、こんなとき『I wanna be your dog』なんて歌われたらラジカセぶん投げたくなるよ。だから皆さん、レストアや修理をしようとするときにストージーズだけはやめたほうがいい。絶対にお勧めしません。
それじゃあ何がいいかって、僕はこれが一番お気に入りです。

これはイミディエイトのシングルコレクションで、かなりお勧めです。無論好みの問題ですが。何がいいって、全体に明るい。ハッピーな気分なんです。ネジをコリコリと回しているような単純作業のときにも、『If paradise is as harf as nice』なんて流れてくると、「あ~このスクーターはどんな人が乗るのかなぁ」なんて想像したりして、とても楽しい。そして『Lazy Sunday』とくればかなり気分でしょう。やっぱり60年代のスクーターを組むときにはそれにあったBGMを選ばなくてはいけないようですな。
とりあえず下半身を9割がた終了させました。いや~思いのほか時間をかけてしまった。ボディーに引くアースも、キレイにリューターで塗装を落として見栄えよくやりました。もちろんテスターでチェック済み。

それにしてもびっかびかでしょう!! お金かかってますぜ、ヤングマン。
今のところの仕様としては…
1:タンクなどメッキ。
2:175ccキット
3:22mmJETEXキャブ新品
4:アンチロッティ・イグゾースト
5:エレクトロニック・イグニッション。
これにコンチネンタル・ホワイトウォールタイヤを装着予定!
ところで、GW中はガレージのシャッターを開けて作業をしてましたが(どんなガレージかは前のレストア日記を見ておくれ)、まぁいろんな人に話しかけられました。大体質問は同じで、
「これ新車?」
「古いのかね?」
「自分で全部やんの?」
「これ国産かい?」
「めずらし~ね~。いくらすんの?」
暇なおっさん、昔バイクに乗ってたおっさん、通りすがりの爺さん、旧車好きオヤジ系ってところが多かった…。5月5には6人もちょっかい出してきたのでちょっとめんどくさかったなぁ。正直。でもこのところ天気がよかったので、日を浴びながら何時間もぶっ通しでいじってるときもちよかった~!
う~ん、進まない! なかなか時間が取れないんです。このゴールデンウィークが勝負か?ってところです。
そんななかシリンダーカウルを取り付け、エキパイをつけ、ちょっとマフラーを合わせてみたのがこの写真。

当初マフラーはカーサランブレッタのメガフォンを予定していましたが、エキパイと合わないんだ、これが。エキパイが悪いのかマフラーが悪いのか、いずれにしても角度が違いすぎる! ついにいやになって手元にあったアンチロッティを使うことにしました。でもつけたらつけたで結構イケセンでした。
その後、リプロのテールライトリフレクターとオリジナルのそれの基盤を加工して、きれいな一品を作ろうと奮闘。ついに2時間を費やして完成。やった~!! …しかし、自宅に帰ってきてイギリスのショップのサイトを見たらオリジナルと同じタイプの結構いいリプロが15ポンドで売られていた!!ガーン!とりあえず作ったものはこれでごんす。

ゴールデンウィークはがんばんなくては!
今日はフロントハブをやりました。やったというほどの作業ではありませんが、2時間ほどかけてフロントのベアリング挿入からブレーキシュー取り付けまで。いちおうASSYとして組み終わりました。写真はベアリングサイドのもの。最近でたレストア本には、ここのオイルシールを逆に入れるべし、とあったけど、昔からの癖でついそのまま入れてしまいました...。というのも、実は古いレストア本(古くはオリジナルのワークショップマニュアルから今まだ売っているピンクの現行ワークショップマニュアルにいたるまで)には、みんな写真のように入れよと書いてるんだよね。俺もそれで覚えちゃったけど、これまで支障はなかったので、まあよいとします。ほんとはどちらがいいのかなぁ。

実はこのところ、第2子が誕生しまして、その前後は家庭人として忙しく、なかなかまとまったレストア時間を捻出できないのが悩みです。どうもここ3ヶ月くらいはあまり進んでいない…。進まないと、これは何事でもそうですが、モチベーション下がるよね。でも、これじゃだめだ!!と奮起。工程表を作って週単位で管理していこうと思います。ま、しょっちゅう今の仕事でやってるようなことだけど…。
さて、ネタをひとつ。60年代には多くのスクーター・アクセサリーがあったこと、よくご存知だと思いますが、な、なんと、アクセサリーのボックスセットがあったって知ってますか?
実は持ってるんですよ。旦那。ふふふ。

こんな箱に入ってます。大きさはだいたいジャンボマシンガーの箱よりふた周りくらいでかい箱。
これをあけると…

まずフロントバンパー、そしてダブルレッグ、ホーンキャスティングの飾り、そしてサイドパネルの飾り。どれも単品ではちょっと地味目なものばかりですが、そろってるってのがすごいでしょ。
95年位かなぁ。イタリアで発掘しました。
去る土曜日、ジャングルスクーターズまで作業に行ってきました。普段は、通称第2工場・マイガレージで孤独な作業ですが、この日は小島プロにイッチョ揉んでもらうため本社工場(?)まで足を伸ばしたわけです。小島プロはさすが経験豊富、いろいろとテクニカルティップを伝授してくれました。当日はフロントハブとフロントフォークの組み立てを予定していましたが、時間の都合上2人作業が望ましいフロントフォークのみ組み立てました。

フォークスプリングには強化版を使用。これはエンジンを175ccにした為、少しでもいいブレーキングを求めてのこと。でも使用するのは今回が初めてなので、実際に走ってみないとわかりません…。ま、きっといいでしょう!
そして小島プロに手を貸してもらいフロントフォークをリアッセンブル。やはりこの作業は2人でやるとラクですな。皆さんがもしひとりでやるときには、去年イギリスで出版された赤いランブレッタのレストア本(洋書のリンドバーグで購入可)に詳しく出ていますので、参考にされるといいと思います。あの本はホントよく書かれています。執筆陣のひとり、イタリアでスクーター屋を営むDEANは、まだアマチュアの頃からかなりのランブレッタ狂として有名でした。10年以上前、古田社長と僕はイタリアの彼の家に泊まった事がありました。その頃彼は犬を飼っていて、PUMAと名づけていました。ランブレッタ・プーマ(セルベタからでていた50ccの単車版ランブレッタ。僕持っています)にちなんで。かなりクレージーだね、あの人も。
さてこの日にはツナギを着たのですが、実はこれ、オリジナルでつくっちゃいました。背中には2型の頃のlambrettaロゴがはいっています。いいでしょ!そして胸にはボーリングシャツのように「Godzi」とネームを入れてもらいました。こんなツナギ着て作業してたら、10年前に戻ったような気がしました。あれ?後ろにいるのはもしかして山口君?
春分の日、とっても暖かな日、レストア日和。今日はエンジンを積みました。一人でマウントボルトを通すのってコツがいるんですね。昔を思い出しながら、結構すんなり通しました。体が覚えてるってやつでしょうか。

ちょっとエキパイも仮につけてみてマフラーもくっつけ遊んでみました。でもマフラーはヒミツなので写真はありません!ま、お楽しみってことで。
マウントする前にダイヤルゲージでTDC(上死点)を出したのですが、ちょっとやりにくかったので、正確さを求め、もういちど上死点と点火タイミングもしっかりやり直しました。皆さんもご自分でやるときにはダイヤルゲージを使うことをお勧めします。ゲージを使う際には特殊工具が要るのですが、イギリスのMBディベロップメンツ製がいいと思います。

MB製は200ccも150ccも使えるフレキシブルなやつですが、他んちのは2個そろえなくちゃならないんです。ちなみに僕は当時ものを使ってます(ちょっと自慢)。ナイジェル・コックスから昔買ってね。ジャングルでもMBものなんかはオーダーで取り寄せできると思いますよ(ね、社長!)。
エキパイはずさなきゃな…。
次回は本社工場にて作業です。フロントハブを予定!
兼業レストアラーとしては週末の時間がとても貴重なのですが、今週はなんとインフルエンザにかかってしまい外出禁止! そんな中、皮肉なことに、楽しみにしていたメッキが仕上がり届いてしまった!!

輝くクロームメッキ群。そう、今回はなんとフロントとリアのハブをメッキしてしまったのです。実は今回のサブテーマはキャルっぽくないCal look。サイドパネルをあけると、中はすべてメッキというゴージャスさ。重要な見せ場になるこのタンク類、東京都内とあるメッキ工場にお願いして仕上げてもらいました。
さらに追い討ちをかけるかのように、イギリスから届いたパーツ類。ノッティンガムのスクーターレストレーションズからの荷物です。中身は特殊工具とエレクトロニック・イグニッション用のワイヤリング・ルーム(配線)。

一昔前(そうね、大体10年位前かな)にはこの新品など存在していなく、イギリスのレストアラーたちはみんな、古くて固~くなってしまったものを大事にとっておいて使ったものです。その当時はコンディションのいい物を持っておくというのが結構な肝でした。いまはいい時代になったなぁ。
さあ体が治ったら組むぞ~!!

春の足音が聞こえてきた今日の午後。マイガレージの掃除をしました。現在レストア中なのはLi150 Sr.3。ゴールデンウイークごろまでには完成してジャングルにて委託販売したいと思っています。今回エンジンは175ccの腰上にエレクトロニック・イグニッションを装備。ケースはウエットブラストをかけたので新品みたいにピッカピカです。

これから少しづつレストアの過程をアップしていきます。完成をぜひお楽しみに!
気になるカラーは???
ヒ・ミ・ツ!!
いらっしゃい。久しぶりだよね。ほんと。この前店開けてから2年くらいたったんじゃないかな。その間いわゆるプライベートってやつが忙しくってさ、なかなか店開ける気がしなかったんだわ。いろいろあったよ。人生も半ばにさしかかりゃあ、親の一人や二人見送んなきゃなんなくって、そんなことしてりゃあすぐにたっちまうのさ。2年なんてね。ところでさ、店を最後に開けた頃に仕入れたワインが、今日見たらもうビンテージなのよ。2002年物。で、さっきちょっとあけて飲んでたら結構これがいけてるんだよね。ま、飲んでみて。まず口に含んでまわして鼻から息を出す。そう。な、香りが追っかけてくるだろ。それから飲む。するとオークの芳しい香りが喉から上がってくるの、わかる? うまいだろ。これ国産、塩尻のメルロー。チーズも長野産ヤギのクロタン。癖もほどほどでちょっと暖めるとタマんねぇよ。鹿児島産黒豚を使ったプロシュートも岐阜の肉屋から取り寄せてあるからどんどんいってよ。そんな高い金とんないからさ。しかしね、こうしてワイン飲んでるとまた昔を思い出すよ。
あんた、いわゆるビジネスの三要素って知ってるかい、ヤングマン? 人・金・情報っていってさ、人材と人脈、経営資本の投下先、そして情報ってことだよ。スクーター屋だってこりゃあ当てはまるさ。これに差がなきゃただのマニアとかわんねぇよ。昔はこのすべてが未開拓でさ、大体一・二度ヨーロッパに行きゃあスクータービジネスに足を踏み入れられたんだからいい時代だったよ。密林の社長とオレが店はじめられたのも、そんな時代だったこそかもな。そりゃあ人には言えない苦労とノウハウも当然あったけどね。あれは1997年の9月だったかな。イタリアで買い付けをしていた密林の社長とオレは、F1ドライバーのアイルトン・セナが死んだイモラサーキットの夜の駐車場で、イギリス人の友達5・6人と、簡素なテーブルと椅子でワインを交わしたことがあったのさ。とある週末の前、金曜の夜。辺りは真っ暗で、懐中電灯がなきゃ歩けなかったな。

まず、なんでオレたちがそこにいたのかを話さなきゃなんないな。イタリアって国は年がら年中パーツ交換会をやってるんだよ。それも全国各地で。今でこそインターネットがあるから調べようと思えば調べられるけど、当時はマンツーマンの情報で「いついつどこでやるんだよ」ってのを聞きつけて仕入れにいってたんだ。で、このときもイギリス人からイタリアのイモラサーキットで大掛かりなパーツ交換会があるんだぜ、って聞きつけて買い付けへと出かけていったわけだ。このときのパーツ交換会はデカかったな。なんせサーキットコースが一周6キロ近くあるんだけど、その約70%にイタリアの二輪四輪旧車の出店が並ぶんだよ。しかもそれ以外に外のエントランス周辺などにも大量に店が出る。そしてその中の一体どこに、スクーターパーツが転がってるかわからない。そう、本物の宝探しさ。手馴れたやつは自転車を持ってきて乗りながらショッピングするんだけど、大半の連中は歩きだな。俺も歩いたよ。しかも一日に6周。6周だよ、36キロだよ。よくやったもんだわ。若いって素晴らしいね。しかし、あの頃はその成果も大きかったよ。当時はリプロがなくってなかなか手に入らなかったランブレッタ1型のヘッドライトリムとか、TV1型の未使用メーターに白スイッチとか、オリジナルの「j」マークが入ったイグニッション未使用とくれば、当時ものスポーツシートにスポーツマフラー各種多数、ウルマのシングルモール数組、ビガーノのアクセサリー類多数。もうなに買ったか思い出せないけど、とにかくリラが足りなかったよ。今じゃ考えられないね。去年もミラノのノベグロでやったパーツ交換会にいったんだけど、10年前を知ってるオレとしては、もう買うべきものは皆無だったよ。まったくの不毛。ナッシン・ツー・バイ。ま、それはそれとしてとにかく、オレたちはそのイモラサーキットにそんなわけで行ったんだわ。
通常大きなパーツ交換会は土日に開かれるんだが、その初日、土曜日の午前十時頃から一般客の入場が始まるんだ。しかしね、実は、それはすでにパーツ交換会の終わりを意味するんだよ。どうしてかわかる?このパーツ交換会にはイタリア全土から出店者たちがやってくる。今はどうだかわからんが、当時出店者は早いもの順で入り口から近いいい場所を取れたんだ。だから出店者用の車が入れる大きなゲートの前に、早いやつは木曜日から車を停めて順番を取るんだよ。そりゃあ1周6キロもあれば入り口近くの店のほうが売れるよな。よっぽど好きじゃなきゃ一番奥までは行かないんじゃないの?なんせ3キロ近く歩くことになるんだし。そういうわけで、金曜の夜ともなるとゲートからはズラズラと、もう数え切れないほどバンだのトラックだのが並ぶわけ。それを知ってるやつらは金曜日に来て「買いの機会損失」がないように、くまなくチェックして歩くわけだ。そして、もしその列のトラックにランブレッタのTVでも乗っててみろよ。120%金曜の午前中には売れちゃってるね。当時オレたちは、そんなわけで金曜日に会場へ行っていたわけだ。会場に着いたのは確か昼ごろだったな。ひとしきり見て歩いたあと、ちょっと遠くにイベント・スタッフの誘導員のような、紛らわしい格好して駐車場の入り口に立ってる男が目に入った。その男はやってくるイタリア人の車一台一台に向かって「Lambretta? Lambretta?」なんて尋問してるんだ。そうだな、スタッフというより警備員っぽい服に変装している。でも明らかにイギリス人。誰だと思う?かの、ナイジェル・コックスだよ。イギリス人の友達も一緒に、みんなで唖然としたね。オレはナイジェルに「よう、なんか買えたのかい?」って聞いたら、アイツ、超自慢げに「エスエックス・トゥーハンドレッド!!」と抜かしやがった。あのときの誇らしげな顔は忘れられないね。ヤツはあたりが暗くなってもやってたよ。すごいというかアホというか、100年たってもオレはあいつになれないよ。まともな連中、つまりオレたちは、日が暮れた頃イギリスの友達が買い付け用に乗ってきた車の近くにテーブルを出して、そしてワインを囲んだのさ。ある意味そのときが一番楽しかったのかもしれないね。まあ、そういった前夜式があって次の日、土曜日の早朝、出店者用のゲートがついに開いたんだ。密林の社長とオレは、出店するイタリア人の友人の車に忍び込ませてもらって、出店者ということで潜入した。まだまわりは真っ暗だったな。オレたちは懐中電灯を片手に並べ始めた店を一軒一軒、パーツ求めて捜し歩いたのさ。そんなやつらがオレたち以外にもかなりいたな。つまり出店者同士のある種インサイダー取引なんだけど、店を出すヤツらは同時に車両なりパーツなりを探しに来てもいるってことさ。そうこうしているうちに夜が明け、そして一応1週目が終わった頃だったかな、一般ゲートが開いたのは。オレはまず初戦を制したから、パーツ交換会にはツキモノの美味しい屋台のパニーノとエスプレッソで休憩をとった。

もうわかっただろ、一般の入場が始まったときに真のパーツ交換会が終わる理由が。大げさじゃなく、それまでに戦いの8割は終わってたね。あとの2割は目こぼしや出店者が後から出してきたものなんかをくまなくあたって収穫する、いわば落穂拾いの作業になるんだ。でもこれはこれで結構収穫があって馬鹿になんないんだよね。そういえばイノチェンティマーク入りオリジナルヘッドライトグラスを大量に激安購入したのもこの「落穂拾い」の最中だったな。今思えば、あの頃がイタリアで「宝探し」の出来た最後の時期だったかもね。10年前のあのパックス・イタリアーナを過ぎると、イギリス人たちはもうイタリア全土を発掘しきってしまって、さらに南下、ギリシャやイスタンブールに行ってたよ。当然アジアにも行ってたやつらがいてさ、そんなかでもベトナムで昔ランブレッタのディーラーだった店を一軒分、大量発掘したやつの話も聞いたな。あれはちょっと話題性があったね。かのナイジェル・コックスはその頃アルゼンチンまで足を伸ばして相当見つけたんだよ。で、例のごとく大量に仕入れたんだ。やつはかなり自慢げだったよ。特に当時貴重だったオリジナルのセンターバッチを本当に大量に見つけたらしいよ。船便でごっそり送ったって息巻いてたからね。ところがさ、なかなか「お宝」たちはイギリスにやって来なかったんだ。そりゃあヤッコさん、ヤキモキしてたよ。でも、待てど暮らせど来ないわけよ。SCOOTERINGの帯広告には「アルゼンチンより大量入荷予定!」なんて大風呂敷広げてたのにね。もし97・8年ごろのSCOOTERINGバックナンバーがあったら見てみなよ。ちゃんと載ってるよ。そしてついに、かわいそうに、そのお宝は案の定やってこなかったんだよ。そう、だまされたんだよね。ほんと、ご愁傷様でした。
しかしさ、こうやって昔話をしていると、あれからたった10年しかたってないのにスクーター業界は変わりすぎた気がするね。今じゃEbayはあるし、非常に出来のいい「カーサ・ランブレッタ」のリプロもあるし、情報化が進んで誰でもどこでもそこそこのものが手に入るようになったよな。でもね、残念なことにあの頃の興奮とか感激とかいう類のものはもうなくなっっちゃったよね。しかし視点を変えてみりゃあ、確かにレストアをするのにはいい時代だよ。プリザベーションっていうことから考えればレベルの高いリプロは重要だと思うし、実際今オレが手がけてる一台にも結構カーサのパーツが入ってるよ。どっちがいいのかなあ。わかんないよオレには。 たださ、なあ、ヤングマン、俺は思うんだけど、物事ってのは何でもバランスと限界があるほうがいいんじゃないか?昔ほどではないにせよ、そこそこ手に入る状況、そこそこレアな状況。探せば見つかるけど、黙ってちゃあ見つかんない。そんなのが一番いいんだろうな。もし10年前と今がちょうどハーフ・ハーフでミックスされたらもっとスクーター業界は幸せになれたんじゃないかな。でも、そううまくいかないのが世の中ってもんかもね。そして、すくなからずその功罪はオレにもあるよ。そうだな、ランブレッタも人間も、失ったときにわかる価値ってもんがあるのかもしれねぇな。よく肝に銘じとくよ。さぁ、飲めよ、ヤングマン。今夜はオレのおごりだよ。